留学のココだけの話
psという世界で一番優れた飛行艇の設計者の一人とお話をしたときのことでした。
「設計者として何が一番大事でしょうか?」とうかがったところ、こう答えられたのです。
「設計上で何が問題になりそうかを見つけて、それを若くて優秀な技術者に振って、解決してもらうことだ」課題を人から与えられて解決していく人間と、課題を自分で見つけて解決していく人間とでは百倍ほど価値が違います。
この設計者にとって、自分自身で問題箇所を解決していくのはたやすいことでしょう。
しかし彼は「与えられた課題に対して答えを考えることよりも、課題自体を考え、解決手法を考えることのほうがはるかに重要」ということを、設計チームの一人ひとりに伝えたかったのだと思います。
ところが、今の日本の教育は「自分で考えること」を教える部分がひどく弱い気がします。
私も指摘しましたが、日本では問題には正しい答えが常に一つだけあって、先生が教えてくれた解法どおりに早く解いた人が優秀とされているのです。
こんな教え方ではものごとを考える習慣が身につかないばかりか、よくても先生を二流、流にしたような人物しか育たないでしょう。
現実の世界に起こる問題には無数の答えがあります。
その中で状況を考慮したうえで、自分の頭を使って最適解を見つけていく・・・。
これからの時代は、自分でさまざまな解決方法を考えていく人間や会社しか生き残っていけなくなると思われます。
私が、過去に私が試行錯誤を重ね、編み出してきたいくつかの勉強法を紹介しています。
ただし、私がお伝えしたいことは、みなさんが自分の目標を定めて、その到達点にいかにたどりつくかを考えることです。
私の場合、最大の目標は「パイロットになること」でした。
実現のためには自分に不足している能力を身につけるのはもちろんですが、非常に限られた時間の中で何倍も速く効率よく習得するかが大きな課題となりました。
私が紹介するのはその必要性から編み出した方法です。
実際に同じ悩みを持つ後輩に勧めたところ、非常に好評でした。
みなさんもぜひこの勉強法を実践し、そして応用してみてください。
なお、飛行機に詳しい方ならお気づきと思いますが、ジャンボジェットの巡航速度は時速900キロほどですから、音速(時速約1200キロ)は出せません。
でも冬場のジェット気流に乗ると、地上から見た速度は「超音速」に見えます。
同じ努力(スピード)でずっと速く習得できる(スピードが出せる)、そんな意味もこめて「超音速勉強法」と名づけました。
世の中の大抵のことは、まず自分がいつまでにこうなる、こうするという到達点を決め、あとは到達したときの自分と今の自分の差を明らかにして一つひとつ埋めていくことで達成できると思っています。
他人にできることなら、あなたにもできるはずです。
肝心なのは他人との差を埋めるためにどんな方法を使えばいいかを考え出す力と、それをやり遂げる力です。
私が紹介したやり方がみなさんの勉強やスキルアップに役立つとともに、みなさんの新しい世界を開くための一助となれば幸いです。
パイロットというのは、とても忙しい職業です。
毎月のフライト(平均ω時間約4万キロ)は当然ですが、そのほかにも各路線や空港の資料をつくったり、後輩の教育や指導にあたったり、さまざまな委員会に出席したりと、じつにたくさんの仕事があります。
また、年に2回の身体検査、同じく年に2回、計3日間のシミュレーターの訓練と試験があります。
さらに、実機で実際の航空路を飛ぶ試験が1回、緊急時の脱出訓練が1日など各種の検査や試験、訓練をこなします。
それらの仕事を、フライトをこなしながらやっていくのですが、やっかいなのは時差日本とヨーロッパ往復のフライトスケジジュール。
同じ努力で何倍も速くマスターする日本では3泊4自の時間が経っていくが、クルーはその間に2泊しかできない問題です。
日本からヨーロッパまで往復すると、出発して帰るまで合計4日かかります。
しかし、その聞に現地で泊まれるのは2日だけです。
日本国内の旅行なら3泊4日になるはずなのに、時差の関係で1泊分が消えてしまうのです。
これに加え、いわゆる時差ボケも生じます。
人間の体内時計は、時間が遅くなるほうに合わせやすいため、一般的に西に飛ぶときのほうが楽で、東に飛ぶほうが体にこたえます。
たとえば、東京を午前6時に出発すると、約四時間のフライトで、ロンドンに到着するのは現地時間の午後3時ぐらいです。
すぐに休めばそれほど体に負担はかかりません。
しかし、同じ時間にニューヨークへ出発するとなると、今度は約四時間のフライトで到着時間は現地の午前9時半になります。
フライトのあと、長い1日が待っていて、休みたいのに休めないという状況になるわけです。
帰国するときは、この逆になります。
したがってヨーロッパから日本に戻ってきた翌日は、ほとんど寝ているだけで使い物になりません。
体の調子を戻すだけでも、月に数日は消えてしまいます。
パイロットは情報処理業会議や資料づくり、後輩の教育などの忙しさは、ほかの職業でも同様です。
また、時差の問題もひんぱんに海外出張しているようなビジネスマンならあてはまるでしょう。
しかし、パイロットは多くの人命を預かり、一歩間違えれば大惨事につながる責任を負っている職業です。
そのため、これはもう情報処理業ではないかと思うくらい膨大な量の情報を処理しなければなりません。
パイロットは各自、会社内に各種の情報が入るボックスを持っています。
ここに乗務する機種の情報、飛ぶ路線の情報等の各種の資料が入れられるわけです。
月によっても違うのですが、参考までに述べると、ある1か月に私宛てに配付された資料は4000枚以上にものぼりました。
各種の空港にまつわる情報から、自分の乗っている飛行機に関する情報、国際的な飛び方の規則の変更と、どれもがいいかげんに扱うわけにはいきません。
これらの情報をきちんと理解し、もし情報に書かれている場面に遭遇したときには、正確に対処できなくてはならないのです。
そこで、パイロットには情報の処理と効率的な勉強が絶対的に必要になってきます。
パイロットに配られる情報のうち、一番多いのが「ジエプソンマニュアル」です。
これは、アメリカのジエプソン社が発行するマニュアルにさらに各航空会社が独自の情報を加えたもので、世界中のほとんどの航空会社で使用されています。
各空港の進入方式や離陸方式など航路情報と飛行場の情報が細かく書かれています。
たとえば、羽田にある東京国際空港の場合、着陸に使う滑走路だけで16L、22、3同じ努力で何倍も速くマスターする1334Lと4本の滑走路があります。
それに対してILS方式やVOR方式などいろいろな着陸の仕方が決められています(注2)。
さらに、騒音軽減のために同じ滑走路のILS方式でも、飛ぶ高さなど各種の決まりごとを変えています。
たとえば、「ILSA官D日、N0134Lアプローチ」「ILSN0334Lアプローチ」「ILS34Lアプローチ」と、時間帯によって3種類のN05降り方を定めている滑走路さえあります。
管制塔からは「クリアーフォープの名前が告げられるだけ」ですから、パイロットはそれに応じた飛び方を覚えていなければならないのです。
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